こんな土地をお持ちの方は土地評価の見直しにより 納めすぎた相続税が戻ってくる可能性があります

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    稲荷や地蔵尊が建っている土地(庭内神祀)

    相続税土地評価の減価割合:原則100%

    相続税申告をしたときの土地評価額が100万円だった場合、相続税還付手続きで0円に。

    旧家のお宅では、庭などに信仰の対象となっている稲荷や地蔵尊、庚申塚などが建っていることがあります。これら構築物の敷地は、原則、非課税財産として相続税がかかりません

    古くからその土地に住んでいる地主のお宅には、庭の一角に稲荷が祀られていたり、道路面に地蔵尊が建てられていたりすることがあります。これらのご神体を祀る構築物は、税務上、「庭内神し(ていないしんし)」と呼ばれ、その敷地や付属設備など含めた全体が日常礼拝の用に供されているなど、機能的な一体性が認められる場合には、その敷地や付属設備なども含めて、土地の評価額は原則、非課税となります。

    ただし、相続税を意図的に安くすることを目的としてこれら構築物を建築したことが明らかな場合には、非課税とはなりませんので、注意が必要です。

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    道路よりも低い位置にある土地

    相続税土地評価の減価割合:10%

    相続税申告をしたときの土地評価額が3,000万円だった場合、相続税還付手続きで2,700万円に。

    道路より低い位置に宅地があり、周辺の宅地に比べて利用に不便が生じていると考えられる場合、その不便を考慮して相続税土地評価を減額できます。

    相続税では、周辺の宅地に比べて、個別的な理由により利用に不便が生じている宅地については、その不便が生じている部分について10%の評価減を行うことが可能です。これを「利用価値が著しく低下している宅地の評価」といいます。

    たとえば、道路面に対して低い土地は、周辺のそうではない宅地に比べて、雨が降ると洪水のリスクが高かったり、道路に出るためにスロープを設ける必要があったりして、不便があるものと考えられます。このような宅地は評価減が認められることがあります。

    国税庁の方針では、道路面より高い土地についても、減額が適用できる場合があるとされていますが、一般に、このような土地は景観や通風に優れ、周辺宅地よりもむしろ不動産価値が高くなることもあることから、適用には慎重になるべきでしょう。

    本減額要素は、どのくらいの高低差があれば認められるかといった明確な数値規定があるわけではなく、土地の接道状況や利用形態、地域の特性などを総合的に勘案して判断します。

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    様々な使われ方をしている土地

    相続税土地評価の減価割合:個々の土地の状況により異なる

    相続税における土地評価は、筆によらず、一体で利用されている範囲を定めて行います。範囲の指定をどのようにするかによって、減額の可能性が生じます。

    相続税の土地評価では、実際に利用されている土地の範囲を定めて、土地の評価額を求めます。

    土地の単位としてよく知られるものに「筆」がありますが、相続税ではこれによらず、実際の利用状況から判断するため、複数の筆がひとつの土地となったり、ひとつの筆が複数の土地となったりします。

    区分の仕方によって土地の形状や、採用する路線価、補正率などが変わり、場合によっては大きな減額となることから、土地の範囲の見極めは重要です。

    たとえば大きな自宅が1棟だけ建っている土地や、一面、畑として利用されている土地といったように、単純な使われ方をしている場合は容易ですが、現実にはひとつの筆の中に複数の住居や店舗、畑、倉庫、駐車場などがある場合もあり、どの部分を同じ土地、別の土地とするか、判断に悩むケースもあります。

    このような場合、相続税を評価する際の指針である「財産評価基本通達」や裁決事例、精通者による研究資料などを参考に、その土地の現地の様子(土地がフェンスやブロックで仕切られていないかなど)や実際の利用状況、権利関係、地積測量図といった情報を照合し、どのように区分するかを判断していきます。

    土地の分け方でよく例として挙げられるのが、隣接する駐車場のあるアパートの敷地で、当該駐車場の利用者がアパート入居者のみで構成されている場合にはアパートの敷地と駐車場は一体として評価しますが、入居者以外の利用者がいる場合には、アパートの敷地と駐車場はそれぞれ別の土地として評価します。

    複数の用途に使用されている土地の評価には細かな検証が求められることが多く、不動産の専門家の視点が欠かせません

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    道路に接していない土地、道路に接する面が2m未満の土地

    相続税土地評価の減価割合:個々の土地の状況により異なる

    公的な道路に接していない土地や、接していても間口が2m未満の土地などは、基本的に建物建築が認められないため、相続税でも土地の評価額が大幅に下がる場合があります。

    建物の建て方を定めた建築基準法第43条には、「建物の敷地は建築基準法上の道路(道幅が原則4m以上のものをいう)に2m以上接していなければならない」と規定されています。

    この規定は、都市計画法が定める「都市計画区域」および「準都市計画区域」の中にある土地に適用され、一般に「接道義務」と呼ばれるもので、接道義務を満たしていない土地には、原則として、建物を建てることができません。

    建築基準法上の道路にまったく接していない土地(無道路地)もしくはこのような道路に接していても、間口が2m未満の土地(準無道路地)は、この接道義務を満たさないため、建物の建築が認められません。また、すでに建物が建っている場合、再建築不可となります。

    このような土地は、周辺土地に比べ宅地としての利用価値が劣ることから、不動産価格が大幅に下がり、それは相続税土地評価でも考慮されます。

    具体的には、実際に利用している道路の路線価に基づき、形の悪い土地として計算した価額から、無道路地に建築物を建築するために必要な、必要最小限の間口をもつ通路を開設した場合の価額を差し引いて評価します。

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    細い道路や未舗装の道路にのみ接している土地

    相続税土地評価の減価割合:個々の土地の状況により異なる

    土地が接する道路が、実は建築基準法で認められていないただの通路(法定外道路)である場合があります。このような通路に路線価がついていた場合、注意が必要です。

    建築基準法で認められた道路とは、道幅が原則4m以上のものをいい、この道路に間口が2m以上接していない土地には、基本的に建物を建てることができません(ただし、道路幅が4m未満であっても、自治体が認めたものについては、建築基準法上の道路とされる場合があります)。

    一方で路線価は、「宅地」つまり「建物の敷地」の価額を計算することを想定してつけられるものであり、その道路に接する土地に建物が建てられることを前提としています。

    ただし、まれに建築基準法で認められた道路以外の通路(法定外道路)にも付されていることがあります。法定外通路にしか接していない土地には、特別の場合を除いて、建物建築が認められないため、このような場合、この路線価を周辺の建物建築が認められる道路の路線価と比較し、「建築不可」というマイナス要素を考慮した十分な価格差がつけられているかどうかを検証しなければなりません。

    その結果、その価格差が不十分であると考えられる場合には、当該路線価を採用しないことが合理的とされる場合があります。このような道路にしか接していない土地は「無道路地」となりますので、評価額が大幅に下がることになります。

    「細い道路」「未舗装道路」「階段状になっている道路」「遊歩道」などは、建築基準法で認められた道路ではないことがありますので、相続した土地がそのような道路にのみ接する土地だった場合には、注意が必要です。

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    接する道路の道幅が4m未満の土地

    相続税土地評価の減価割合:70%

    相続税申告をしたときの土地評価額が3,000万円だった場合、相続税還付手続きで900万円に。

    公的な道路に接していない土地や、接していても間口が2m未満の土地などは、基本的に建物建築が認められないため、相続税でも土地の評価額が大幅に下がる場合があります。

    建物の建て方を定めた建築基準法第43条には、「建物の敷地は建築基準法上の道路(道幅が原則4m以上のものをいう)に2m以上接していなければならない」と規定されています。

    この規定は、都市計画法が定める「都市計画区域」および「準都市計画区域」の中にある土地に適用され、一般に「接道義務」と呼ばれるもので、接道義務を満たしていない土地には、原則として、建物を建てることができません。

    建築基準法上の道路にまったく接していない土地(無道路地)もしくはこのような道路に接していても、間口が2m未満の土地(準無道路地)は、この接道義務を満たさないため、建物の建築が認められません。また、すでに建物が建っている場合、再建築不可となります。

    このような土地は、周辺土地に比べ宅地としての利用価値が劣ることから、不動産価格が大幅に下がり、それは相続税土地評価でも考慮されます。

    具体的には、実際に利用している道路の路線価に基づき、形の悪い土地として計算した価額から、無道路地に建築物を建築するために必要な、必要最小限の間口をもつ通路を開設した場合の価額を差し引いて評価します。

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    登記上の面積と実際の面積が異なる土地

    相続税土地評価の減価割合:公簿地積と実測面積との差により異なる

    登記上の面積よりも実際の面積の方が大きいことを「縄延び」、小さいことを「縄縮み」といい、畑や田んぼ、山林、またはもともとこのような利用をされていた土地が開発され、分筆された宅地などによく見られます。

    縄縮みしている土地は登記上の面積で評価すると過大な評価に直結するため、登記簿の面積を鵜呑みにせず、実際に面積を測量して現況を把握することが重要です。

    相続税で、市街地地域など、道路に路線価が振られた地域にある土地を評価する場合には、その土地の面積の情報が必要です。ただしそれは、その土地の「相続開始時点での」「実際の」面積でなければなりません。

    土地の面積を知る資料のひとつとして登記簿がありますが、実は、登記簿の面積と、実際の面積が異なることがよくあります。登記簿の面積よりも実際の面積の方が大きい場合を「縄延び」、登記簿の面積よりも実際の面積の方が小さい場合を「縄縮み」といいます。

    「縄縮み」が起こる理由は、戦前にまでさかのぼります。戦前、地主は小作人に小作料を支払わせて、地主所有の土地を耕作させていました。小作料の計算は、土地の面積をもとにしていたため、小作人からより多くの小作料を取ろうとした地主が、土地の面積を実際よりも大きく行政に報告したことなどが縄縮みの原因のひとつとされています。

    一方、「縄延び」は、明治時代に行われた「地租改正」に起因するとされます。地租改正とは税金の大改革であり、江戸時代までコメの収穫量を税の基準としていたのを、所有する土地の面積を基準とするよう明治政府により改められたものです。土地の面積の計測は所有者に任せられ、各人が計測した結果を、行政に報告させました。

    当時の測量技術は未熟で、土地の所有者らは税負担を逃れるためわざと土地の面積を小さく報告したといわれ、この数値が、今の登記簿の面積情報の基礎となったといわれます。

    「縄縮み」している場合、登記簿の面積で評価すると、過大な評価となるため、実際に面積を測量し、現況を把握することが重要となります。また「縄延び」の場合も、評価したい土地が三大都市圏の市街化区域にあり、登記簿の面積が500m2未満ではあるものの、実際の面積が500m2を超えると予測できる場合には、「広大地評価」などを適用できる可能性もあるため、測量を入れることが有利とされることもあります。

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    一定以上の広さがあり地積規模の大きな宅地の評価に該当する土地

    相続税土地評価の減額割合:最大で36%程度(規模格差補正率のみ考慮)

    相続税申告をしたときの土地評価額が1億円だった場合、相続税還付手続きで6,400万円程度に。

    相続した土地が広い土地で、一定の要件を満たすものは、評価額が大幅に下がる可能性があります。
    周りに比べて広い土地を相続したという方、その土地はもしかしたら「地積規模の大きな宅地の評価」による大幅な減額ができるかもしれません。

    次のような要件に当てはまる場合、地積規模の大きな宅地の評価により評価額が下がる可能性があります。

    1. 【要件 1】「三大都市圏」では500m2以上、それ以外の地域では1,000m2以上の面積を有している

      三大都市圏とは、東京圏・大阪圏・名古屋圏に該当する地域をいいます。
      対象地が三大都市圏に所在する場合は面積が500m2以上、それ以外の地域では1,000m2以上の面積を有している場合に認められます。

    2. 【要件 2】「普通住宅地区」または「普通商業・併用住宅地区」にある

      こちらは対象地が路線価地域にある場合の地区区分に関する要件です。
      地区区分とは地区及び借地権割合の適用範囲を示す記号で、国税庁が公開している「路線価図」から簡単に調べることができます。

    3. 【要件 3】倍率地域において「大規模工場用地」に該当していない

      「大規模工場用地」とは、研究開発施設等の敷地の用に供されている宅地及びこれらの宅地に隣接する駐車場、福利厚生施設等の用に供されている一団の土地(一団の工場用地)で、その地積が50,000 ㎡以上のものをいいます。
      50,000m2未満であれば、一団の工場用地であっても地積規模の大きな宅地の評価が適用できます。

    4. 【要件 4】「市街化調整区域」以外の地域にある

      原則、対象地が市街化調整区域に該当した場合には、地積規模の大きな宅地として評価することはできません。
      ただし、市街化調整区域内の土地であっても、適用が認められる可能性があるため、役所での詳細な調査が必要です。

    5. 【要件 5】都市計画法上の用途地域が「工業専用地域」以外の場所にある

      対象地が、都市計画法上の用途地域における「工業専用地域」にある場合は、地積規模の大きな宅地の評価の適用ができません。

    6. 【要件 6】「指定容積率」が400%(東京都では300%)未満の地域にある

      容積率とは、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合を意味します。
      容積率には基準容積率と指定容積率の2つがありますが、地積規模の大きな宅地の評価の判定要件では指定容積率を用います。

    他にも細かな基準をクリアすることで、大幅な減額が可能となります。

    「広い土地」はなぜ評価額が下がるの?

    広い土地は、戸建分譲開発が一般的な地域にある場合、周辺にある普通の広さの宅地に比べて平米単価が下がりやすいのが特徴です。 これは、広い土地は、売却しようとしたときに価格が高額となりやすく、買い手がディベロッパー(開発業者)など一部の者に限定され、需要が少ないことが一因です。

    また、ディベロッパーは、このような広い土地を、周辺の宅地規模と同じ程度に区画割りして分譲することが予想できますが、土地の形状や道路付けによっては、敷地内に新しく道路などを通す必要があり、このような部分は宅地として売り出すことができません。

    需要者が限定されること、有効宅地部分が減少することなどから、広い土地は、そうではない普通の広さの土地に比べて、平米単価が下がりやすいのです。そのため、このような価値の減少分を、相続税土地評価でも考慮して、「広大地評価」や「地積規模の大きな宅地の評価」という形で減額することが、認められています。

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    敷地内に崖や傾斜があり一部利用できない土地

    相続税土地評価の減価割合:公がけ地のある方位、面積によって最大47%

    宅地の一部にがけや傾斜など、通常の利用ができない部分がある場合、評価額が下がる可能性があります。減額割合は、その部分のある方位や面積などにより異なります。

    宅地の一部にがけや傾斜が存在していて、その部分を利用できない場合、そのようなものがない同じ形状の土地と比べて、利用価値が劣ると考えられます。

    こういった土地は、がけが存在しない同じ形の土地の価額から、がけとなっている部分の面積や方位に応じた減額を行って、その土地の価額とします。

    この計算方法で想定されるがけ地には、自然に存在する傾斜のほか、郊外の宅地分譲などに見られる人口擁壁なども含まれます。また通常、土地の不動産価格は、日当たりや通風の違いから、南東斜面は高く、北西斜面は安くなる傾向にあります。 それと同じく、がけ地があることによる金額の減少幅は、がけ地の方位が南、東の場合は小さく、西、北の場合は大きくなります。

    ちなみに、こちらの減額要素は敷地の一部にがけ地がある「宅地」に対して適用でき、宅地とは独立して単独でがけ地が存在している場合にはこの評価方法は適用できません。 その場合は、土地の実状に応じて、雑種地や山林、原野などの評価方法に準じて評価することになります。

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    交通量の多い道路や線路に面していて騒音や振動のある土地

    相続税土地評価の減価割合:10%

    相続税申告をしたときの土地評価額が3,000万円だった場合、相続税還付手続きで2,700万円に。

    線路や交通量の多い道路などに近く、騒音や震動があり、付近に比べて利用価値が著しく低下していると認められる宅地は、評価額が下がる可能性があります。

    騒音や震動は、住環境にとってはマイナス要素です。 たとえば、住宅街で、電車の往来の激しい線路に接している場合、その土地の取引価格にも影響があることよくあります。同じように、交通量の激しい大通りに面している宅地は、閑静な住宅街にある宅地に比べて好まれにくいため、不動産価格に影響がある場合もあります。

    相続税の土地評価ではその点を考慮し、騒音や震動が甚だしいなど、付近に比べてその利用価値が著しく低下していると認められる宅地は、利用価値が低下している部分について、評価額の10%を減額することができるとされています。

    ただし、路線価がそのマイナス要因を考慮したうえで付けられている場合には適用できません。また、その要因が土地の価格にどれほどの影響を及ぼすのかといったことも考慮したうえで、減額の妥当性が判断されます。一般に、騒音や震動というのは主観的要素が絡むものなので、土地の利用者が不快と感じるだけでは、減額要素として評価に組み入れてよいものか判断に迷います。

    そこで実務では、たとえば騒音の場合は、騒音に関する裁決事例や、環境省による「騒音にかかる環境基準」、各自治体が定める騒音についての環境基準を参考に、実際に現地で行った騒音計による計測結果とを照合して判断します。

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    嫌悪施設に隣接する土地(墓地・工場・ごみ処理場など)

    相続税土地評価の減価割合:10%

    相続税申告をしたときの土地評価額がが3,000万円だった場合、相続税還付手続きで2,700万円に。

    墓地や工場等の嫌悪施設に隣接していることを理由として、不動産価格に影響があると考えられる宅地については、周辺の宅地に比べて利用価値が低下しているとして、評価減が認められる場合があります。

    相続税では、生活環境を悪化させうる嫌悪施設に隣接することにより、不動産価格に影響があると考えられる場合、隣接する宅地について、利用価値の低下が生じているとして、 10%の評価減が認められることがあります。これを「利用価値が著しく低下している宅地の評価」といいます。

    墓地は景観の不気味さから嫌悪施設とされることがあり、墓地に隣接する不動産物件は、そうではないものに比べて、賃料や売買価格が低くなったりするケースがあります。同じように、工場などは、発生する悪臭などが原因で、隣接する不動産物件の価格が、そうではないものに比べて下がってしまうことがあります。

    このような状況が客観的に認められる場合、これら嫌悪施設に隣接する宅地について、利用価値が低下しているとして、10%の評価減の適用が認められることがあります。

    ここで取り上げている墓地や工場といったものは、宅地の利用価値を低下させる一例に過ぎません。

    たとえば、過去、当グループが扱った案件で、暴力団事務所に隣接していることにより、騒音を理由として建物建築が何度も妨害され、嫌がらせを受けていたお客様が保有する土地について、この評価方法を適用したところ、税務署に認められたことがありました。

    このように、本減額要素は、評価したい土地が抱える、「その土地の不動産価格を低落させると考えられる個別的要因」を理由として、適用できる場合があります。

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    敷地内に高圧線が通っている土地

    相続税土地評価の減価割合:基本的に30%

    相続税申告をしたときの土地評価額が3,000万円だった場合、相続税還付手続きで2,100万円に。

    土地の上空に高圧線が通っている場合、建物の建築などに制限が生じることから、減額できる可能性があります。

    上空に高圧線が通ると、安全の確保のため、線下の建物には高さなど一定の建築制限が加えられます。 このように、高圧線が通る土地は土地利用に制限が生じることから、相続税土地評価でも利用の制限に応じて一定の減額をすることができます。

    減額割合は、「家屋の構造用途等に制限を受ける場合」は30%、「家屋の建築がまったくできない場合」は50%となり、50%に該当する場合はその土地に適用される借地権割合を比較し、いずれか高い方の割合を、その土地の価額から控除します。

    これを「区分地上権に準ずる地役権の評価」といいます。

    高圧線が宅地の上空を通る場合、電力会社と線下の土地所有者が、送電線架設保持に関する「線下補償契約」を結び、電力会社に土地の部分利用を認めることが一般的です。

    この際、送電線にかかる土地部分を分筆し、そこに「地役権(自己の土地の便益のために他人の土地を利用する権利)」を設定する場合と、契約のみ取り交わし、地役権が設定されない場合とがあります。

    地役権の登記がされていれば、土地の登記情報を確認することで減額要素に気づけますが、線下補償契約のみで地役権の登記がされていない場合、減額要素の見落としが起きる可能性があります。そのため、実際に現地を見て、土地や周囲の環境を調査することが重要です。

    ちなみにこの減額は、高圧線により「建物建築に制限が生じる」点を考慮して定められたものですので、建物の建築を前提としない農地や山林といった土地については、適用がないものとされています。

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    地下鉄や高速道路の地下トンネルが通っている土地

    相続税土地評価の減価割合:30%

    相続税申告をしたときの土地評価額が3,000万円だった場合、相続税還付手続きで2,100万円に。

    地下鉄や高速道路の地下トンネルが土地の下を通っている場合、土地利用に制限が生じることから、制限を受ける部分について減額することが認められています。

    土地の所有権は、地上面だけでなく、「その土地の上下に及ぶ」とされています。そのため、地下トンネルを通すといった場合、原則として、その土地の所有者の承諾を得ねばなりません。

    その際は、「区分地上権設定契約」が土地所有者と事業者の間で交わされるのが一般的です。

    「区分地上権」とは、その土地の上下を部分的に利用する権利のことで、たとえば今回の場合、契約が結ばれると、トンネルが通る地下の地上部分が分筆され、そこに区分地上権が登記されます。区分地上権が設定されると、権利の設定範囲に到達する建物の基礎杭の設置、トンネルにダメージを与える過重な高階層の建物の建築、権利の設定範囲に影響する一定以上の掘削といったことが制限されます。

    こうした土地利用の制限が生じることを考慮して、相続税では、地下にトンネルが通っている土地は30%の減額をすることが認められています。

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    アパートや貸家として第三者に賃貸している土地

    相続税土地評価の減価割合:借地権割合、賃貸割合により異なる

    自己所有の土地に自己名義の建物を建てて第三者に賃貸している場合、その土地は「貸家建付地」として評価額が下がります。賃貸物件の各戸のうち、相続開始時に空室だった部分についてはこの減額ができませんが、退去後、速やかに入居者の募集が行われていたなど、空室が一時的と認められる場合には、引き続き、賃貸されていたものとして土地評価額の減額が認められることがあります。

    自宅建物の敷地など、他人の権利が絡んでいない土地を「自用地」といいます。また、アパートや賃貸マンションなど、自己が所有する土地に自分名義の建物を建て、それを第三者に貸している場合、その敷地は「貸家建付地」と呼ばれます。

    アパートなど賃貸物件の入居者は、法律により保護され、簡単に退去させることができません。その点で貸家建付地は土地利用に制限が生じており、これを考慮した減額を行うことができます。

    具体的には、自用地として評価した金額から、①借地権割合、②借家権割合、③賃貸割合をかけ合わせたものをマイナスして評価します。

    1. 借地権割合は路線価図に表示されています。収益性の高い地域ほど割合が高くなり、住宅地の場合60~70%程度が一般的です。

    2. 借家権割合は現在、全国一律で30%です。

    3. 賃貸割合は、相続開始時に貸し付けていた各戸にどれだけ入居があったかを割合で示したものであり、貸家の入居状況に基づいて計算されます。例えば10室中5室に入居があった場合、賃貸割合は50%となります。つまり、入居の割合が多いほど減額できるしくみです。

    相続税評価において、相続開始時に空室だった部分は原則として賃貸割合に含めることができません。ただし、「継続的に賃貸されてきたもので、相続開始時に一時的に賃貸されていなかったと認められる」部分がある場合には、その部分を賃貸されていたものとして賃貸割合に含めてよいという緩和措置も規定されています。

    相続開始時に空室だった部分を「一時的に賃貸されていなかった」と認めるかどうかは、次のような事実関係から総合的に判断します。

    1. 1各独立部分が相続開始前に継続的に賃貸されてきたものであること。

    2. 2賃借人の退去後、速やかに新たな賃借人の募集が行われ、空室の期間中、他の用途に供されていないこと。

    3. 3空室の期間が、相続開始の前後の例えば1か月程度であるなど、一時的な期間であること。

    4. 4相続開始後の賃貸が一時的なものではないこと。

    何をもって「継続的な賃貸」とするのか、退去後どのくらいで募集を開始した場合「速やかに新たな賃借人の募集を行った」といえるのかなど、検討の余地が多い減額要素ですので、地域の賃貸市場の動向、近隣物件との競争状態などを考慮に入れながら、多面的な視点で判断していく必要があります。

    最後にサブリース形式で賃貸が行われていた場合について解説します。

    サブリースとは、住宅建築メーカーや不動産会社といった事業会社が、賃貸用物件のオーナーからその物件を一括借り上げし、運営管理を引き受け、それを入居者へ転貸して、賃料収入の一定割合を保証賃料としてオーナーに支払う賃貸システムをいいます。

    相続税土地評価では、サブリース契約を結んでいる建物の敷地は、そうではない場合と同様に「貸家建付地」として評価します。ただし、事業会社が一括して借り受けているため、たとえ実際の入居割合が50%であったとしても、賃貸割合を100%として計上することが可能となり、実際の入居割合で計算するよりも有利となる場合があります。

  15. 15

    いびつな形で利用しづらい土地(旗竿地・間口の狭い土地)

    相続税土地評価の減価割合:最大40%(不整形地補正率のみ考慮の場合)

    相続税申告をしたときの土地評価額が3,000万円だった場合、相続税還付手続きで1,800万円に。

    いびつな形の土地や、道路から通路を通って奥に入る旗竿のような形状の土地などは、整った形の土地に比べて使い勝手が悪いため、評価額が下がります。

    また、一見すると整形に見える土地でも、道路に対して斜めに接している場合は相続税では「いびつな形の土地」として認識され、評価額が下がることがあります。

    都心の住宅密集地などに行くと、道路部分から見て間口が狭い通路があり、その奥が広いスペースになっていて、そこに家が建てられていることがあります。

    こうした土地は「旗竿地」と呼ばれ、間口の広い土地と比べて通風や日照が劣るため、不動産価格が下がる傾向にあります。

    旗竿地と同じ理由で、「形がいびつな土地」や「間口の狭い土地」、「奥行がある土地」も、出入りや利用に不便があることが多く、そうではない整形な土地に比べて不動産価値が下がりやすいのが特徴です。

    こうした点を考慮して、相続税では、理想的な整形な土地を想定し、それから評価したい土地がどれくらいいびつであるかを「不整形地補正率」「間口狭小補正率」「奥行長大補正率」といった形で数値化し、減額することが認められています。

    特徴的なのは、道路に対して斜めに接している土地も減額の対象となる点です。

    見た目は整形で利用にとくに不便はない場合であっても、相続税のうえでは「いびつな形の土地」として減額できる可能性があります。

    相続税のこのような性質をよく理解していないと、高い評価額のまま申告してしまい、相続税の納め過ぎが起きかねません。この点は、とくに注意しておきたいところです。

  16. 16

    道路と建物の間に水路や川がある土地

    相続税土地評価の減価割合:水路部分の面積や橋部分の幅員などにより異なる

    土地と道路との間に川や水路があり、橋や暗渠(あんきょ)により出入りしている場合などは、評価額が下がることがあります。

    土地と道路との間に川や水路があり、それ以外に接する道路がない場合、このままでは接道義務を満たしていないことから、その土地に建物を建てることができません。この場合、自治体から水路占有許可を得た上で、2m以上の幅の橋や暗渠といったものを設けることにより、建築が認められるケースが大半です。自治体によっては、水路の幅により、許可自体が不要となる場合もあります。

    水路に橋や暗渠を設けることにより公道と接している土地は、間口が狭く、利用に不便があることから、相続税ではそのことを考慮して評価額が計算されます。具体的には、宅地部分、橋部分および水路部分を合わせて評価した価額から、橋部分および水路部分を合わせて評価した価額を減額し、それにその土地の間口の狭さ、形の悪さに応じた補正を行って、その土地の評価額とします。

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    私道として利用されている土地

    相続税土地評価の減価割合:30%もしくは100%

    相続税申告をしたときの土地評価額が1,000万円だった場合、相続税還付手続きで700万円もしくは非課税に。

    人々の通行のために利用されている私有地(私道)には、不特定多数の人が利用する公共性の高いものと、その周辺の住人など特定の人だけが利用するものの大きく2種類があり、通行状況によって減価が認められています。

    通行のために利用される、個人または団体が所有する土地は「私道」と呼ばれ、①「通り抜け私道」のように不特定多数の人が通行する公共性の高いものと、②「行き止まり私道」のように特定の人が通行するものとに二分されます。

    私道は私有地ではあるものの、人々の通行の用に供され、自由な処分が困難なことから、①「通り抜け私道」の場合、その私道は評価対象外となり、非課税となります。

    また②「行き止まり私道」の場合は、私道でない宅地として評価した価額の30%相当額で評価します。

    ①と②のどちらに該当するかで評価額が大きく変わってしまうため、判断は現況に基づき的確に行う必要があります。

    たとえば、一見すると②「行き止まり私道」であっても、私道の先に地域の集会所、地域センター、公園などの公共施設や商店街等があり、その出入りに使用されている場合は、不特定多数の人の利用があると考えられるため、①「通り抜け私道」に該当するものとして非課税での評価が妥当とされます。

    ②「行き止まり私道」は、それが接する道路に付けられた路線価、またはその私道そのものに設定された「特定路線価」により評価します。

    「特定路線価」とは、路線価の設定されていない道路のみに接する土地を評価する場合に、納税義務者からの申請等に基づき、その道路に設定される路線価のことです。原則として、行き止まり私道には路線価が付いていないことから、これを設定し評価するケースがよく見られます。

  18. 18

    都市計画施設の予定地にかかる土地(公園・道路など)

    相続税土地評価の減価割合:1%から50%(地区区分や容積率などにより異なる)

    相続財産である土地が、国や自治体等が定める都市計画施設の予定地にかかる場合、収用されるまでの長期にわたり土地利用が制限されることから、土地に生じる不便に応じて、減価することが認められています。

    国や自治体等により進められる都市計画の中では、都市計画法に基づき、道路や公園、河川といった様々な施設の建設が計画されます。

    これらは、総称して「都市計画施設」と呼ばれます。

    都市計画で定められる道路(都市計画道路)は、交通渋滞緩和などを目的として建設され、すでにある道路を拡幅することもあれば、新たに幹線道路(バイパス)を建設することもあります。

    都市計画施設予定地の区域内に位置する土地は、いずれは施設用地として収用されますので、そこに大きな建物、例えばマンションなどが建ってしまうと、取り壊すための時間や費用が多くかかってしまいます。

    それを防ぐため、予定地の区域内にある土地には一定の建築制限が課され、建物を建てる際には、特別の場合を除き、都道府県知事の建築許可を必要とすることが都市計画法により規定されています。

    具体的には「2階建て以下で地階を有しないこと」「主要な構造が木造・鉄骨造・コンクリートブロック造等で容易に移転・除去ができること」といった基準を満たす建物以外は、原則として建築が許可されません。

    さらに、都市計画は一般に計画から実行まで長期にわたることが多く、相当期間、土地利用に制限が生じることになります。

    相続税土地評価ではこの点を考慮し、「その土地が属する地区区分」「その土地の容積率」「道路予定地となる土地の割合」をもとに定められた補正率により、減価を行うことが認められています。

    現地を見ただけでは都市計画施設予定地とわからない場合もあるため、役所で「都市計画図」を確認することが重要です。なお、相続開始時点で都市計画道路がすでに整備済みである場合には、建築制限が生じないため、減額は行いません。

  19. 19

    ガソリンスタンドや化学工場跡で土壌汚染のある土地

    相続税土地評価の減価割合:浄化・改善費用の80%相当額

    ガソリンスタンドなどの敷地は地中に有害物質を蓄積していることがあります。 また、宅地分譲の過程で生じた建築ガラ(建築廃材や産業廃棄物といったもの)が宅地に不法に埋設されることもあります。

    健康被害防止の観点から、このような土地では、調査や有害物質の除去等の対応が行われますが、原則、こうした対応にかかる費用は所有者が負担しなければなりません。

    調査や浄化改善の費用が高額になることも多いため、相続税でこのような土地を評価するときは、土壌汚染の浄化にかかる費用を控除することが認められています。

    クリーニング店やガソリンスタンド、化学工場などの敷地は、長年の稼働により、人体に健康被害を及ぼす有害物質を蓄積してしまうことがあります。また、宅地分譲の過程で生じた建築ガラ(建築廃材や産業廃棄物といったもの)が宅地に不法に埋設されることもあります。

    平成15年に施行された土壌汚染対策法によると、土壌汚染による健康被害の恐れがある場合は、原則、その土地の所有者の負担により調査を行わねばならず、それにより汚染が発覚した場合は、汚染原因者が明らかな場合等を除いて、その浄化・改善も土地所有者が行わねばなりません。これらの費用は土地の実勢価格を上回るケースもあり、土地所有者にとって大きな負担となる場合があります。

    相続税土地評価ではこの点を考慮し、土壌汚染がないものとして評価した金額から、「浄化・改善費用に相当する金額」等を控除することが認められています。この「浄化・改善費用に相当する金額」とは、土壌汚染の除去、遮水工封じ込めといった工事にかかる費用の80%相当額をいいます。

    なお、この評価方法は、相続が開始した時点で、「土壌が汚染されていることがわかっている」場合に適用でき、同時点において「土壌汚染の可能性がある」など潜在的な段階の場合や、相続開始前に土壌汚染の浄化にかかる費用をすでに負担している場合には適用できません。

    また、相続開始より後に汚染が判明し、浄化改善費用を請求する訴訟が提起されている等の場合、その汚染が相続開始時点において存在していることが明らかとされる場合には、当該浄化費用相当額を、相続開始時点までさかのぼって控除できる場合があります。

  20. 20

    遺跡や歴史的遺物が埋蔵されている土地

    相続税土地評価の減価割合:発掘調査費の80%相当額

    長い歴史を持つわが国では、古い時代の建物や生活用品が土中に埋まっていて、その上に住宅などが建設されることがあります。

    こうしたもののうち、文化的に価値があるものについては「埋蔵文化財」の指定を受け、自治体がそれらが埋まっていると考えられる箇所を把握し、「周知の埋蔵文化財包蔵地」として管理しています。

    「周知の埋蔵文化財包蔵地」の範囲内に土地を所有している場合、土木工事などを行う際に届け出が必要となったり、調査のための費用を原則、所有者が負担しなければならなかったりといった制約があるため、不動産価値に影響があると考えられる部分について、減価を行うことが認められています。

    わが国では、古い時代の遺物や遺構が土中に埋まっていて、その土地上に住宅などが建築されることがあります。こうしたもののうち、文化的価値の高いものは「埋蔵文化財」の指定を受け、これらがあると考えられる地域は、自治体により「周知の埋蔵文化財包蔵地」として管理されています。

    「周知の埋蔵文化財包蔵地」では、地中の遺物や遺構の損傷を避けるため、宅地開発などの土木工事を行う場合には、教育委員会に届出を行わねばなりません。そして、書類審査で調査が必要とされれば試掘が行われ、その結果、工事が埋蔵文化財に影響すると判断された場合、本掘が行われることになります。

    調査中は工事が中断するほか、これから建てようとする建物がアパートといった事業目的のものである場合、調査費用は原則、土地所有者が負担しなければなりません。

    このように、土地が周知の埋蔵文化財包蔵地であることは、土地の資産価値にマイナスの影響を及ぼすと考えられることから、相続税土地評価では発掘調査費の80%相当額を、埋蔵文化財のない土地とした場合の価額から控除することが認められています。

    ただし、発掘調査費の減額は、相続開始時点でその土地に埋蔵文化財があることが確定的で、かつ発掘調査費が負担されていない場合のみ可能です。埋蔵文化財があることが潜在的な段階、もしくはすでに調査費が支払われている場合には、この評価方法は適用できないため、注意が必要です。

  21. 21

    都市部にある農地

    相続税土地評価の減額割合:その農地を宅地化するのに必要な宅地造成費相当額

    都市部にある農地は、宅地として評価した金額から、その農地を宅地に転用するための費用(宅地造成費)を差し引いて評価額を求めます。

    相続税では、農地を宅地に転用するための工事方法とそれにかかる費用がいくつか想定されており、現地調査を行い、どのような工事が必要になるか、その費用はいくらぐらいになるのかを見極めることが重要です。

    農地は、農地法の規制を受けており、宅地などに転用する場合には、自治体の許可を受けなければなりません。

    この自治体の転用許可を受けた農地や、市街化区域内にある農地は「市街地農地」と呼ばれ、相続税土地評価では、その農地が宅地であるとして評価した金額から、その農地を宅地に転用するための費用(宅地造成費)を差し引いて、その土地の価額とします。宅地造成費にはいくつかの項目があり、整地や土砂の積み上げ、擁壁の構築などにかかる費用を総合して、国税局が地域ごとに定めています。

    • 土盛費(どもりひ):道路よりも低い位置にある場合などに土砂で埋め立てて地上げするための費用。

    • 土止費(どどめひ):埋め立てた土砂が崩れるのを防ぐために擁壁を組む費用。

    • 整地費:でこぼこした土地の地面を地ならしするための費用。

    • 伐採・抜根費:樹木が生えている土地の場合、その樹木を取り除くための費用。 など

    差し引ける費用は農地の状況によって異なるため、現地調査が重要となります。たとえば道路より低い土地を宅地として利用しようと思えば、道路の高さまで土砂で埋め立てて地上げ(土盛り)をします。加えて、土盛りをしただけでは土砂の流出や崩壊のおそれがあるので、すでに擁壁等で囲まれているといった場合を除き、擁壁を組んで土止めも行う必要があります。

    このように、一般的には土盛りと土止めはセットで考えますので、どちらか一方しか控除されていない場合はさらに減額できる可能性があります。ちなみに、評価する農地に傾斜がある場合は、整地費、土盛費、土止費を考慮した、その傾斜度ごとに決められた宅地造成費を控除します。平坦な農地を評価する場合とは方法が異なるので注意が必要です。

  22. 22

    自治体から生産緑地の指定を受けている土地

    相続税土地評価の減価割合:5%(相続開始時点の主たる従事者が被相続人の場合)

    相続税申告をしたときの土地評価額が3,000万円だった場合、相続税還付手続きで 2,850万円に。

    都市部の農地の中には、自治体から「生産緑地」の指定を受けているものがあります。生産緑地は解除等に一定の手続きを要することから、このことを考慮し、減額が認められています。

    生産緑地は、市街化区域にある農地のうち、農地として保全することを目的として市区町村の指定を受けたものをいい、東京、大阪、名古屋などの三大都市圏に主に分布しています。

    生産緑地の指定を受けると、その土地での農業経営が義務づけられ、農業経営に関係のない建築物を建てたり、農地を宅地に転用したりといったことは原則できなくなります。

    一方で、固定資産税が大幅に安くなるうえ、相続が起こった場合に、相続税の支払いを先延ばしできる制度(相続税の納税猶予)などを利用することが可能となります。一度設定した生産緑地の解除が認められるのは、「指定を受けてから30年を経過したとき」「主たる従事者(※)が死亡したとき」「主たる従事者がなんらかの故障によって農林漁業に従事することが困難になったとき」のいずれかにあてはまる場合のみですので、解除については条件が厳しく設定されています。

    これらに該当すると、生産緑地所有者は、市区町村に対し土地の買い取りを申し出ることができますが、実際には、市区町村は財政上の理由などから買い取りに応じることはほとんどなく、その後、市区町村から、ほかの農林漁業希望者に取得を促して、そこでも申し出がない場合に、定められた手続きを経て、生産緑地としての指定が解除されることになります。

    相続税土地評価では、被相続人が主たる従事者だった場合、解除等に一定の手続きを要することから、このことを考慮し、その土地が生産緑地でないものとして評価した価額から、5%相当額を控除することが認められています。

    ※主たる従事者:農業経営の中心的人物をいいます。生産緑地の所有者と同一であることが大半です。

  23. 23

    都市部にある山林

    相続税土地評価の減価割合:その土地の状況により異なる。宅地転用が見込めない場合、90%以上となることも

    市街地にある山林(市街地山林)は、その山林が宅地であるとした場合の価額から、その山林を宅地に転用するためにかかる宅地造成費を控除して評価額を求めます。

    また、急傾斜であることなどを理由として宅地造成が見込めない場合は、近隣の「純山林」の価額をもとに評価し、この場合、評価額が大幅に下がります。

    市街地山林とは、住宅街の中、もしくはその外縁部に存在する山林をいい、もともと山林だった一帯が開発され、住宅地となった中に部分的に残された雑木林などが該当します。

    市街地山林に該当し、路線価が敷設された地域にある土地の場合、その山林が宅地であるとした場合の価額から、その山林を宅地に転用するときにかかる費用(宅地造成費)を減額して評価します。

    市街地山林の評価で注意しなければならないのは、その土地を「山林から宅地へ転用できるかどうか」を検討する点です。これは、宅地への転用が見込めない場合、前述の方式と異なり、その価額は、近隣の「純山林」(市街地から遠く離れた、宅地の価額の影響を受けない山林)の価額をもとに評価することになるためです。

    この「宅地への転用が見込めない場合」とは、たとえば、「その山林を宅地に転用した場合、多額の造成費用がかかり、経済合理性を欠く」、「その山林が急傾斜地等であるために、宅地造成ができない」といった場合が挙げられます。純山林は山の中にある土地であり、評価額が非常に低いのが特徴です。

    この価額をもとに評価する市街地山林も当然、評価額が下がるため、宅地への転用が見込めるか否かの判断は、非常に重要となります。

  24. 24

    市街化調整区域の土地(資材置き場や駐車場利用されている)

    相続税土地評価の減価割合:最大50%(市街化の影響度によるしんしゃく割合のみ考慮した場合)

    相続税申告をしたときの土地評価額が3,000万円だった場合、相続税還付手続きで1,500万円に。

    市街化調整区域にある雑種地(資材置き場や駐車場など)は、市街化がどれほど進んだ地域か、その土地に建物を建築する場合にどのような制限が課されるかによって、評価額が変わります。

    「市街化調整区域」とは、都市計画法により市街化を抑制すべき地域として定められるエリアで、一部の例外を除き、基本的には建物の建築が認められません。

    ただし、そうであっても、地方自治体の条例などにより開発を認める地域が指定されており、一定の条件をクリアしている場合は建築が許可されることがあります。

    また「雑種地」とは、宅地、山林、田、畑、原野、牧場、池沼、鉱泉地以外の地目の土地をいい、私たちに身近なものとしては、資材置き場や駐車場などがあります。相続税土地評価で雑種地を評価するときは、現状が似ている近傍の宅地の単価に、位置や形状などによる補正を行い、最後にその雑種地の面積をかけて算定する方法があり、これを「近傍地比準(きんぼうちひじゅん)価額方式」といいます。

    さらに市街化整区域の雑種地では、周辺の市街化の進み具合や、その土地が受ける法令上の制限に応じて、下記の評価減を行うことができます。

    • 低未利用地、農地・山林等が混在している地域にあり、建物建築が許可されない場合…50%の評価減

    • 評価対象地が幹線道路や市街化区域の境界付近にあり、宅地価格と同等の取引が行われている実態があるが、建物建築においては家屋の構造や用途等に制限を受ける場合…30%の評価減

    • 評価対象地が幹線道路や市街化区域の境界付近にあり、宅地価格と同等の取引が行われている実態があって、建物建築に特段の制限がない場合…これによる評価減なし

    このように評価するのは、市街化調整区域の土地には原則、建物が建てられず、もし建築が許可される場合にも制限を課されるなど、場所によって土地利用の制限に違いがあり、一律に宅地に準じて評価してしまうと、その土地の状況を的確に評価に反映できない可能性があるためです。

    以上のような観点から、実際に市街化調整区域の雑種地を評価するときには、役所調査によるその土地が受ける建築制限の確認、現地調査による周辺地域の土地利用の進度のチェックなどが欠かせません。

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